研修やイベントのあと、「楽しかった」「勉強になった」という感想は出るものの、職場に戻ると何も変わらない。その原因の多くは、体験から学びを引き出す「振り返り」が不足していることにあります。この記事では、研修や日々の仕事で使える振り返りのやり方を紹介します。
振り返り(リフレクション)とは
振り返り(リフレクション)とは、経験したことを客観的に見つめ直し、そこから次に活かせる教訓を引き出す作業です。
ただ思い出すだけではなく、「何が起きたのか」「なぜそうなったのか」を言葉にし、「次はどうするか」まで考えることがポイントです。
経験学習モデル:人は経験から学ぶ
振り返りの重要性を説明する理論として知られているのが、教育理論家デイビッド・コルブが1984年に示した「経験学習モデル」です。人は次の4つの段階を繰り返して学ぶとされています。
- 具体的経験:実際に何かを経験する。
- 内省的観察:経験を振り返り、さまざまな角度から見つめ直す。
- 抽象的概念化:振り返りから、ほかの場面でも使える教訓や考え方を引き出す。
- 能動的実験:引き出した教訓を、次の場面で実際に試す。
このサイクルの中で、経験と教訓をつなぐのが「振り返り」です。経験しただけでは学びにならず、振り返りを通じてはじめて、次に使える知恵になります。
振り返りを深める3段階の問い
振り返りは、次の3段階の問いで進めると深まりやすくなります。
1. 何が起きたか(事実)
- 実際にどんなことが起きましたか?
- あなたは何をしましたか?周りの人は何をしていましたか?
- 結果はどうなりましたか?
まずは解釈や評価を入れずに、起きたことを事実として出し合います。
2. なぜそうなったか(分析)
- うまくいった(いかなかった)のは、なぜだと思いますか?
- そのとき、何を考えて、どう感じていましたか?
- 言いたかったのに言わなかったことはありますか?
結果の背景にある考え方、関わり方、仕組みに目を向けます。
3. 次にどうするか(教訓と行動)
- この経験から、どんなことが言えそうですか?
- 職場では、似たようなことが起きていませんか?
- 明日から、何を一つ変えますか?
最後は必ず、具体的な行動に落とし込みます。
研修での振り返りの例
FREIWALKのビジネスゲーム研修では、たとえば情報共有をテーマにしたゲームのあとに、次のような流れで振り返りを行います。
- チームの結果を共有し、「正解までの過程で何が起きたか」を時系列で書き出す。
- 「情報が伝わらなかった場面」「うまく伝わった場面」を一つずつ挙げ、その違いを話し合う。
- 「職場の会議や報告で、同じことが起きていないか」を考える。
- 一人ひとりが、明日から変える行動を一つ書き、チーム内で宣言する。
ゲームの中で起きたことは、参加者全員が同じ場面を見ています。そのため、職場の話をいきなりするよりも、率直に話し合いやすくなります。
KPTとの使い分け
振り返りの手法としては、KPT(Keep・Problem・Try)もよく使われます。
| 手法 | 進め方 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| KPT | 続けること・問題・次に試すことを書き出す | プロジェクトや業務の改善を短時間で整理したいとき |
| 経験学習モデルにもとづく振り返り | 事実→分析→教訓→行動の順に問いを深める | 考え方や関わり方の学びを深く引き出したいとき |
どちらがよいということではなく、目的に合わせて使い分けると効果的です。
振り返りでよくある失敗
- 反省会になる:悪かった点ばかりを挙げると、参加者は防御的になり、本音が出なくなります。うまくいった点も必ず扱いましょう。
- 犯人探しになる:「誰のせいか」ではなく、「何がそうさせたのか」という仕組みや関係性に目を向けます。
- 感想で終わる:「楽しかった」「難しかった」で止めず、「なぜ」と「次は」まで進めます。
- 時間が足りない:振り返りは後回しにされがちです。最初から十分な時間を確保しておきましょう。
まとめ
振り返りは、経験を学びに変えるための欠かせない作業です。「何が起きたか」「なぜそうなったか」「次にどうするか」の3つの問いで進め、最後は具体的な行動に落とし込むことが大切です。
FREIWALKの体験型研修では、ゲームと同じくらい振り返りの時間を大切にし、研修の中で職場での行動まで整理します。研修の効果が続かないとお悩みの方は、お気軽にご相談ください。