組織づくり / 読了時間 約9分

心理的安全性とは?意味・誤解・チームで高める方法を研修講師が解説

「会議で誰も意見を言わない」「ミスの報告が遅れる」。こうした職場の悩みの背景として、よく挙げられるのが「心理的安全性」です。言葉はよく聞くけれど、正確な意味や高め方は分かりにくい、という声も多くいただきます。この記事では、心理的安全性の意味と誤解されやすい点、職場で高めるための具体的な方法を紹介します。

心理的安全性とは

心理的安全性(Psychological Safety)とは、チームの中で意見や質問、懸念、失敗を口にしても、否定されたり、恥をかかされたり、罰せられたりしないとメンバーが信じられる状態のことです。

この概念を組織の研究として広めたのは、ハーバード・ビジネス・スクールのエイミー・エドモンドソン教授です。1999年の論文で、心理的安全性が高いチームほど、ミスを報告し、助けを求め、改善のための行動(学習行動)をとりやすいことを示しました。

注目されるようになった背景

心理的安全性が広く知られるきっかけになったのが、Googleが行った社内調査「プロジェクト・アリストテレス」です。Googleは成果を出すチームの特徴を調べ、2015年に結果を公表しました。その中で、チームの成果に影響する要因のうち、最も重要なものが心理的安全性だとされました。

この調査が示したのは、「誰がチームにいるか」よりも「チームがどのように協力しているか」が大切だということです。優秀な人を集めるだけでは、チームとして成果は出ないのです。

心理的安全性が低いチームで起きること

心理的安全性が低いチームでは、メンバーは対人関係のリスクを避けるために、次のような行動をとりがちです。

避けたいこととりがちな行動チームへの影響
無知だと思われたくない分からないことを質問しない誤解のまま仕事が進む
無能だと思われたくないミスや失敗を報告しない問題が大きくなってから発覚する
邪魔だと思われたくないアイデアや改善案を出さない新しい取り組みが生まれない
ネガティブだと思われたくない懸念や反対意見を言わない形だけの合意で進み、後で問題になる

よくある誤解:「ぬるい職場」ではない

心理的安全性は、「厳しいことを言わない優しい職場」や「何をしても許される職場」と誤解されることがあります。しかし、エドモンドソン教授は、心理的安全性と仕事の基準(目標の高さ)は別のものだと説明しています。

  • 心理的安全性が低く、基準も低い:無関心な職場。誰も挑戦せず、言われたことだけをする。
  • 心理的安全性が高く、基準が低い:居心地はよいが、成果につながりにくい職場。
  • 心理的安全性が低く、基準が高い:不安の強い職場。プレッシャーからミスを隠しやすい。
  • 心理的安全性が高く、基準も高い:学習する職場。高い目標に向けて率直に意見を交わせる。

目指すのは、高い目標を持ちながら、率直に意見や失敗を共有できるチームです。心理的安全性は、厳しい議論を避けるためではなく、厳しい議論を可能にするためのものです。

職場で心理的安全性を高める方法

心理的安全性は、制度や仕組みだけでなく、日々の小さな関わりの積み重ねで高まります。特にリーダーの行動が大きく影響します。

1. リーダーが自分の失敗や迷いを話す

上司が「実は先週、この判断で迷った」「ここは自分もよく分かっていない」と話すと、メンバーも自分の失敗や疑問を出しやすくなります。

2. 発言にまず感謝を返す

意見や報告を受けたとき、内容への評価より先に「言ってくれてありがとう」と伝えます。特に悪い知らせの報告に感謝を返すことが、次の報告を早めます。

3. 質問の形で意見を求める

「何か意見はありますか?」ではなく、「この案のリスクはどこにあると思う?」「〇〇さんの現場から見るとどう?」と具体的に聞くと、答えやすくなります。

4. 会議で全員が一度は話す仕組みをつくる

発言が一部の人に偏る場合は、会議の冒頭に一人ずつ一言話す、意見を付せんに書いてから共有する、といった仕組みが有効です。

5. 失敗を「学び」として扱う

ミスが起きたときに「誰のせいか」ではなく「何が起きたか」「次にどうするか」を話し合います。失敗を共有した人が損をしない雰囲気をつくることが大切です。

心理的安全性を高める研修の選び方

研修で心理的安全性を扱う場合、講義で概念を学ぶだけでは、職場の行動はなかなか変わりません。「頭では分かっているけれど、会議になるとやはり黙ってしまう」ということが起きるからです。

おすすめは、チームで実際に意見を出し合い、意思決定する体験を含む研修です。たとえば合意形成を体験する「NASAゲーム」では、多数決を使わずに全員の合意で答えを決めます。ゲームのあとに「発言しやすかったか」「なぜ意見を引っ込めたのか」を振り返ることで、自分たちのチームの状態に気づくことができます。

研修を選ぶときは、次の点を確認するとよいでしょう。

  • 体験やワークだけでなく、振り返りの時間が十分にあるか
  • 職場の具体的な場面(会議、報告、1on1など)に置き換えて考える時間があるか
  • 管理職とメンバーが一緒に参加できる設計になっているか

まとめ

心理的安全性とは、意見や失敗を口にしても大丈夫だと信じられるチームの状態です。ぬるい職場をつくることではなく、高い目標に向けて率直に議論できる土台をつくることが目的です。リーダーの日々の関わりから少しずつ高めることができます。

FREIWALKでは、ビジネスゲームを使った体験と振り返りを通じて、チームの対話のあり方を見直す研修を提供しています。メンタルヘルスの視点を心理的安全性の向上につなげるプログラムも設計できますので、お気軽にご相談ください。

よくある質問

心理的安全性とは簡単にいうと何ですか?

「このチームでは、意見や質問、失敗を口にしても大丈夫だ」とメンバーが信じられる状態のことです。対人関係のリスクを取っても安全だと感じられることを指します。

心理的安全性が高いと、どんな効果がありますか?

問題やミスが早く報告される、多様な意見が出て意思決定の質が上がる、新しい挑戦がしやすくなる、といった効果が期待できます。チームが学習し続けるための土台になります。

心理的安全性と「仲が良い職場」は同じですか?

同じではありません。仲が良くても、反対意見を言うと気まずくなるチームは心理的安全性が高いとはいえません。率直に意見を言い合えるかどうかがポイントです。

心理的安全性を高める研修にはどんなものがありますか?

講義で考え方を学ぶもののほか、ビジネスゲームなどを使って、チームで意見を出し合い意思決定する体験を通じて学ぶ研修があります。体験のあとに「発言しやすかったか」「なぜ黙ってしまったか」を振り返ることで、自分たちのチームの状態に気づけます。

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