会議で結論は出たはずなのに、いざ実行の段階になると協力が得られない。「あのとき反対だったんだけど」と後から言われる。こうした問題の多くは、結論の出し方、つまり合意形成のプロセスに原因があります。この記事では、合意形成の基本と、会議で実践できる進め方を紹介します。
合意形成とは
合意形成とは、立場や意見の違う人たちが話し合い、全員が納得して実行できる結論を導くプロセスのことです。英語では「コンセンサス・ビルディング」とも呼ばれます。
ここでいう「合意」は、全員が同じ意見になることではありません。「自分の第一希望とは違うけれど、理由も分かったし、この結論なら協力できる」と全員が言える状態を目指します。
多数決や「声の大きい人」で決める問題点
会議でよく使われる決め方には、それぞれ注意点があります。
| 決め方 | よい点 | 問題になりやすい点 |
|---|---|---|
| 多数決 | 早く、公平に見える | 少数派の納得感が残らず、実行段階で協力が得られにくい |
| 上司・声の大きい人が決める | 責任の所在が明確 | 他のメンバーの知恵が活かされず、指示待ちを生みやすい |
| 平均・折衷案 | 角が立たない | 誰の考えでもない中途半端な結論になることがある |
| 合意形成 | 納得感が高く、実行につながる | 時間がかかり、進め方の工夫が必要 |
もちろん、すべてを合意形成で決める必要はありません。緊急時や小さな判断は、責任者が決めたほうがよい場合もあります。大切なのは、チームの方針や重要な判断など、全員の協力が必要な場面で合意形成を使えるようにしておくことです。
会議で合意形成を進める5つのステップ
1. 目的と決めることを確認する
最初に「この会議で何を決めるのか」「何のために決めるのか」を全員で確認します。目的が共有されていないと、議論がかみ合いません。
2. 意見だけでなく「理由」を出し合う
「A案がいい」という意見だけでは、話し合いが平行線になります。「なぜそう思うのか」「どんな前提に立っているのか」を出し合うことで、意見の違いの正体が見えてきます。
3. 少数意見を最後まで聞く
反対意見や少数意見には、多数派が見落としているリスクや視点が含まれていることがあります。結論を急がず、最後まで聞くことが、結論の質を高めます。
4. 共通点と相違点を整理する
出てきた意見を、全員が一致している点と意見が分かれている点に分けて整理します。ホワイトボードなどに書き出すと、議論が感情的になりにくくなります。
5. 「この結論なら協力できるか」を一人ずつ確認する
結論が出たら、全員に「この結論で実行に協力できるか」を確認します。懸念が残っている人がいれば、その懸念にどう対応するかを話し合います。
ファシリテーターの役割
合意形成を進めるうえで重要なのが、話し合いを進行するファシリテーターです。ファシリテーターは自分の意見を通す人ではなく、全員の意見が出るように場を整える人です。
- 発言の少ない人に話を振る
- 意見の理由を質問で引き出す
- 議論が脱線したら目的に立ち返る
- 時間を管理し、決めるべきことを決める
研修では、ゲームの中で自然にファシリテーター役が生まれるチームと、生まれないチームの違いを振り返ることで、その重要性を実感できます。
NASAゲームで合意形成を体験的に学ぶ
合意形成のポイントは、頭で理解していても、実際の話し合いではなかなか実践できません。そこで効果的なのが、体験を通じて学ぶ方法です。
FREIWALKの合意形成研修で使う「NASAゲーム」は、次のような流れで進みます。
- 参加者は「月に不時着した宇宙飛行士」という設定で、手元にある複数のアイテムに、生き延びるための優先順位をつけます。
- まず一人で考えて順位を決めます。
- 次にチームで話し合い、多数決や平均値を使わずに、全員の合意でチームの順位を決めます。
- 模範解答と比べて、個人の結果とチームの結果を振り返ります。
話し合いの質が高いチームでは、チームの結果が個人の結果を上回ることがよくあります。反対に、声の大きい人の意見で決めてしまったチームでは、個人のほうがよい結果だったということも起きます。この違いが、「なぜ話し合うのか」を実感するきっかけになります。
研修に参加した方からは、「全員が納得する形をつくる難しさを実感した」「意見を出し合うだけでなく、まとめることの大切さに気づいた」といった声をいただいています。
まとめ
合意形成とは、全員が納得して実行できる結論をつくるプロセスです。目的の確認、理由の共有、少数意見の尊重、論点の整理、協力の確認という手順を踏むことで、会議の結論が実行につながりやすくなります。
FREIWALKでは、NASAゲームやベストチームを使った合意形成研修を提供しています。経営理念の浸透につなげる「理念浸透Ver.」などのアレンジも可能です。